コミュニティを作る?

コミュニティは作るものではなく、できるもの
まず、ここからスタートする必要があると思います。若干、言葉遊び的かもしれませんが、目的論的にコミュニティが形成されることはなく、結果論的にコミュニティが形成される。言い換えれば、コミュニティは自然発生的なもので、コントロール不可なものだと僕は考えています。

しかし、ビジネス的な要請なり、その他の要請なりで、コミュニティを形成することそのものが目的となるケースがあります。そのような場合、どのような方策をとればいいのでしょうか。僕自身は次の2つに尽きるのではないかと考えています。

(1)楽市・楽座方式

共通のイシューを持っている人を、一カ所に強制的に集める方法です。無論、強制的にと言っても、単純に強権的に集めただけでは、コルホーズのように最終的には破綻するわけで、指定された場所に集まることによる何らかの特権を与える必要があります。この方法のポイントは、下記の2点です。

  1. すでに自分のコントロール下にあるユーザが存在していること
  2. 付与する特権がユーザの要求と合致していること

具体的には、すでに複数の(それぞれ独立した)サービスを運用しているケースにおいて、それをひとまとめにする方法です。個人情報保護法的にはクリアしなければいけない課題はいくつかあるものの、強制的に統一的なアカウントを付与して、以後、それを使わせる。同時に、離脱者を防ぐため、また、新規参入を促すために、既存サービス内容に合致するアドバンテージを与える(たとえば、コミュニティ内での発言数によって割引ポイントを与える等)方法になります。

(2)Linus方式

自分の使いたいもの(あるいはサービス)を提供し、それに関する情報交換の場を用意する方法です。

Linus 氏自身は、 Minix ニュースグループへの投稿からスタートしたわけで、その意味では、自身で「情報交換の場を用意した」訳ではないのですが、全く新しいコミュニティ・サービスを立ち上げる場合、Linux ほどではないにせよ、何らかの起爆剤になる基幹サービスが必須だと僕は考えています。この方法のポイントは、下記の2点です。

  1. 他人がではなく、自身が使い続けたいと思うもの(ないしサービス)を用意する
  2. (1)に関して、自分用メモ的に使える情報交換の場を用意する

具体的には、最低でも1人、つまりは発案者自身が継続的に使いたいと思うものを用意することから始めます。 1人ではどうにもならないと思われる方もおられるかもしれませんが、実際には、よほどの天才でもない限り、自分と同じ考えをしている人は、世の中に複数いるものです。手前味噌ですが、「あれどこ」というAccess用の書籍データベースを公開したところ、Officeのビジネス版が必要というハードルが高めな状況にもかかわらず、数千人の方に利用していただいているようです。「あれどこ」を開発したのは、単純に自分自身必要だったということに他ならないのですが、同じような要望を持っている人は必ずいるという例証になるのではないかと思います。

自分自身、使いたいというもの(ないしサービス)を用意した上で、一からコミュニティを形成するためには、最初から他人のコンテンツを想定するのではなく、単独でも価値のある情報公開サービスも並行的に用意する必要があると思います。ユーザ・ジェネレートなコンテンツとは、言い換えれば、最初は誰に見られるわけでもなく、誰のものを見るわけでもなく、自分で自分の書いたものに価値を見いだせる情報蓄積サービスをスタートにするべきだと考えます。

以上、自分用メモ。